テーマと内容●テーマ

この作品は、現在13万人を越える不登校児を取り巻くドラマと、その周辺にスポットをあて、不登校とその周辺をテーマにしたビデオ映画です。

● 原作


不登校の真実』巨椋修(おぐらおさむ)著 きんのくわがた社刊

●企画意図


この作品では、不登校児の心理、親や教師の立場と心理などを描くことによって

不登校に悩む当人や親、教師の方々に一つのヒントや励ましになり、地域の理解や協力を得ることができるようになればと思い企画いたしました。
また、出演やスタッフに、不登校経験者が参加協力をしています。

現在、不登校問題の解決とは「学校へ復帰することである」という考え方が主となっています。
そのため、学校へ復帰さえすればいい。学校へ復帰することのみが、不登校問題の解決であるという思いが、多くの人々にあるのは否めません。

しかしわたしたちは
学校へ復帰することだけが、問題の解決ではなく、学校へ復帰することもの一つの方法だし、学校へいかなくても方法はいろいろと多くあることをしって欲しい。

と考えており、そういった思いがこの作品のコンセプトとなっています。

● 映画の表現方法について 

この映画は多くの方のインタビューと、ドキュメントタッチのドラマとで構成されています。


● 上映時間

73分


★あらすじ★



主人公は、地方都市で不登校児が集まるフリースペースを開いている若者、宮野正。

宮野自身が不登校経験者であり、不登校経験者、中卒、人生の落ちこぼれというレッテルを張られ、苦しんだ経験を持っている人物です。

そのため、同じような苦しみを抱えている若者たちの手助けをしたいと思い、自らスリースペースを開いたのです。

東京や大阪など都市部と違い、地方都市では不登校児へのケアは、決して恵まれているとは言えないのが現実です。

地域の理解は少なく、家庭にも学校にも居場所がない若者や少年少女が集える所は非常に少ない。
親の理解も少ないため、不登校になってしまった子どもにお金をかけて不登校児を受け入れるような私立の学校に行かせることも少ないのが現状なのです。

事実、都市や地方に関係なく、我が子が不登校になってしまった場合、不登校になった我が子を恥と思い、ムリヤリ学校に連れて行こうとする場合や、不登校の事実を隠してしまおうとする親は多くいます。

宮野のフリースペースには、そういった親からも学校からも見放されたような少年少女が集ってくる彼らの“居場所”なのです。

幼少期に親から突き放されて育ったため、拒食と過食、リストカットを繰り返すようになってしまった少女。

母親の過干渉、過保護に育てられマザコンになり、家庭内暴力を繰り返す女性。

学校にいかず非行を繰り返す少年。

また、映画には不登校に無理解な教師や、親も登場します。

また、不登校問題に取り組む実在の医師や、当事者に対して、実際にインタビューを行い、それぞれの経験や解決策を語ってもらいます。

この映画には、特別な盛り上がりやオチはありません。

不登校という現実問題を描く場合、へんに作為的なドラマ作りをしては、陳腐な作品になってしまうと考えたからです。

それよりも、事実を元にしたエピソードと、実際に不登校に直面した方々へのインタビューを中心にした構成とし、教育関係者や医師による現実的な対応の仕方が、ご覧になった皆さまのヒントととなる作品になればと思っています。